障がいをコントロールするツール ①
私は自立訓練(生活訓練)を利用した約4年の間に、一般の求人と併せて、障がい者雇用の求人を対象として就職活動をしていました。
一般の求人でも、障がいを公開して(クローズではなくオープンで)応募していました。
現在は、特例子会社で障がい者雇用として働いています。
私が実際に使っている、病気の症状が酷くなる前に気付き一定の幅の中で心身を安定させて生活するためのツールをご紹介します。
これらは就職活動でもそうですし、現在の職場でも周囲のサポートを受ける上で非常に役に立っています。
目次
- クライシ・スプラン
- どのように使ったか?
- クライシス・プランを使うメリット
- クライシス・プランの作り方
- 最後に
クライシ・スプラン
今回ご紹介するのは、クライシス・プランです。
クライシス・プランの定義や医療、介護の現場での使われ方については私が述べるべきものではないので触れませんが、私と私を支援して下さる方、職場の上司にとってのクライシス・プランの意味は、「私の取り扱い説明書」となります。
↓こちらが私が職場と共有しているクライシス・プランです。








これは、選考段階で私のことをより理解してもらう材料になりましたし、就職してからは、会社側が私をどのように扱うとよいかを考える材料にもなっています。
どのように使ったか
私は一般求人に対しても、オープンで応募していました。
一般、障がい者求人に関わらず、応募前に私の病気についての書類を添付してよいかの確認をしていました。
了承を貰えたら、上記のクライシス・プランを履歴書等と併せて送っていました。
一般の求人においては、応募前に精神障がいを有しているが応募してもよいかどうかの判断をできるので、効率的でもあります。
面接の前に私の障がいについて触れているので、面接でも説明しやすく、面接官の方も事前に聞きたいことを考える時間があるので、お互いにとって有意義な時間になったと感じたことが多くありました。
そのような選考過程を経ると、私も採用側も双方に比較的高い水準で理解をした上での合否の結果が出るので、例え不採用だったとしても納得でき、結果を次に活かせていたように思います。
現在の職場では、選考過程で提出しており、上長に把握して頂いています。
日々の声掛けや日誌の中で、クライシス・プランに基づいた声掛けをして頂くこともよくあります。
その声掛けが、自分の状態に早く気付き、障がい特性が酷く現れる前に対処できている大きな要因となっています。
クライシス・プランを使うメリット
就職活動でクライシス・プランを使うメリットは、大きく2つあります。
1.面接の質を上げる
前段で触れたように、書類選考の時点で障がいに触れることができるので、面接では障がいについてより具体的に話せることがありました。
障がいのシンプルな説明だけでなく、障がい特性とそれへの対策まで話を進めやすかったです。
おそらく面接官の方は、私の具体的な障がい特性が職場に適応できるかどうかを想像しやすくなったていたんじゃないかなと思います。
2.深い自己理解という自己アピールの材料になる
自分の成育歴・感情・思考・行動を客観的に観察し、理解することを深めていくと、より充実したクライシス・プランを作れます。
その自分への深い理解はクライシス・プランにもある程度現れるので、深く自己理解できていることをアピールする材料にもなったと感じていますし、不採用になった企業様ではりますが面接官の方にそのようにおっしゃって頂いたこともあります。
3.基本的なスキルがあることをアピールする材料になる
Word、PowerPointどちらでもいいと思うのですが、読みやすく意味がすっと入ってくる資料にしようとすると、少し勉強する必要があります。
私のクライシス・プランはPowerPointで作ったのですが、それまでPowerPointをほとんど触ったことがありませんでした。
なので勉強する必要があったのですが、その勉強したことは今の仕事で役に立っていると実感しています。
ものすごく高度なことを学ぶ必要は全くありませんが、人に見てもらうクライシス・プランが出来た頃には、WordやPowerPointの基礎的なスキルが身に付くんだろうなと思います。
それはそのまま面接での自己アピールの一つとしても話せます。
職場に置いてのメリットは、先にも書きましたが、私にとって有効な対処をとって頂ける、ということです。
また、私自身、助けを求められる信頼できる人がいる、という安心感もあります。
クライシス・プランの作り方


「クライシス・プラン」の項で挙げた、職場に提出しているクライシス・プランは、何度も作り直して出来たものです。
内容も、現在進行形で変わっていっています。
いきなり要点を整理して人に見てもらうものを作るのは当然できませんでした。
一番最初にしたことは、「書き出し」のようなフォーマットに、できるだけたくさん書き出すというものです。
私が最初に書いたときは、A3用紙2枚分になりました。
これを書くときは、自分だけで書くのではなく、身近な人に聞くことも非常に大切です。
自分で気付いていないことは、思っている以上にたくさんあります。
「書き出し」がある程度できたら、次は職場の上司や周りの人に見てもらうことを想定して、「整理」のようなフォーマットを使って内容を絞っていきます。
「整理」では、自分がどう対処するのか、周りの人にして欲しいこと、して欲しくないことはなにかを考え、職場で安定して働くための対処法を作っていきます。
「整理」「書き出し」に共通する大事なことは、自分だけで考えないことです。
その理由は二つあります。
一つ目は、自分が自覚していないことを教えてもらったり、自分の対処や周りの人の対処の妥当性を上げるため。
二つ目は、過去の辛かったときのことも思い出さないといけないので、そのことによる状態が悪くなりすぎることを防ぐため。
自分だけで考えていると、どうしても抜け漏れや偏りが出ますし、辛いことを思いだしたときに、ブレーキを掛けることができないときもあります。
それらを防ぐために、自分だけではなく、支援機関の方や家族、友人などに協力してもらうことが不可欠です。
最後に
私が作ってきた、障がいをコントロールするツールがあと二つあります。
セルフモニタリングシートとコーピングリストです。
これらも今後ご紹介したいと思います。
私は、障がいや認知の歪みは完全には消し去ることはできないと考えています。
消せないのなら、それらをコントロールしてカバーするものを身に付ければいい。
消せないものを消そうとするよりも、受け入れて、対処できるようにしていく。
それを続けていけば、障がいや認知の歪みから受ける悲しみよりも、もっと大きな幸せを自分で作るとても貴重なスキルが力強くなっていく。
私はそう実感していますし、そうだと信じています。
今回の記事が、支援をしている人、生き辛さを抱えている人の幸せに少しでも役に立てれば幸いです。